いつくしみ
恋月 ぴの

秋鮭って捨てるところ無いんだよね
骨や皮まで美味しくいただけるし

そんなこと話してみたら

「人生だって同じだよ」
あなたは秋鮭のルイベを美味しそうに頬張った

だと良いけどね
なんにもする気がしなくて
日がな一日ごろごろすることに

正しいと思って一生懸命やったことが
まったくの勘違いだったことにも
それなりの意味があるのかな

スーパーで買ってきた特売のルイベ
ちょっと生臭い気もしたけど
あなたは文句一つ言わずに私の分まで食べてくれて

あのさ、美味しいルイベ食べに行きたいな
だとすると北海道かな?
冬の北海道って寒そうだけど
その寒さにもきっと意味があるんだよね

飛行機なんかじゃなくて
北斗星号とか寝台特急に乗って
流れる車窓をいつまでも眺めていたい

月明かりに浮ぶ穢れ無い雪景色と
人生の在り方

そして、私の隣りには気難しそうなあなた
眼鏡の奥で笑ってる




自由詩 いつくしみ Copyright 恋月 ぴの 2008-11-16 20:11:02縦
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