緩慢する海の響鏡にして
mizu K


発泡した軽石は海にぷかぷかと浮かぶので
さしずめそれは人の身体
海は空の鏡と言い得て妙
波長が合えば共鳴してくれるか
海風を真向かいにバグパイプを
水平線まで届けと
音が満ちる
そこまで聞こえているか

レジカウンターが自動化されて
そこだけ潮が引き
あるべきところに人の不在そのことが
こんなにも不安にさせるものかは
けれども緩やかに慣れてしまうだろうて
人と対峙するときの少しだけの覚悟も
もはや

遠吠えることだ
狂う波しぶきに負けぬほど
聞いたものみな布団を頭からかぶり
がたがた震えてかちかち止まらず
涙にじますほどに
遠吠えることだ
耳ふさぐものをつき抜けるほど
外海のように荒れ狂うことだ

夢とおもうたことが、あったので
それはやはり
夢であろうか、からくれないに
夢であれかし
水平線がうたう
今日も血が流れたよと
うたう、うたう
知的障碍者に爆弾をもたせて
遠隔で起爆したって
ナイフ片手に歩行者天国を
走り抜けたって
水平線がうたう
その一帯は無数の軽石漂う海、です
それから

今日も
レジカウンターは無人です
レジカウンターは無人です
レジカウンターは無人です
その響きだけが
こだましている


自由詩 緩慢する海の響鏡にして Copyright mizu K 2008-10-31 23:42:15
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