空中ぶらんこ
佐野権太

遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡い吐息で雲をつくりながら
それは新鮮な水分を含んだ
一編の詩である

止まっているように見える
しゅんかんを
つかもうとすれば
残像をつきぬけてしまうから
きみのいとしい温度に
胸をあたためながら
遠ざかる

自然なふりこの原理にしたがい
美しい弧を描いて
きみがやってくる
着地するときのきみは
鳥が羽をたたむやり方に似ている

きみと
手を取り合って
ひだまりをついばみながら
みゅうみゅうと遊ぶ
その
いっしゅん


自由詩 空中ぶらんこ Copyright 佐野権太 2008-10-23 12:16:25
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