よくある職場恋愛の顛末
チアーヌ

よくある職場恋愛で
なんとなく付き合い始めた
きらいではなかったけど
好きかどうかは判らなかった
暇でさびしいから
そういう理由で男女はいくらでも
付き合えるから
慣れてくると
いつものホテルで
コンビニのお弁当食べちゃったりもする
ダレた付き合い
お互い疲れてるから
面倒はやめようと思ってた
誕生日クリスマス
いつだってお互い仕事だったし
期待もしてなかった
ラブホテルのまずいインスタントコーヒーを
平気で飲むような間柄で
気取ったってしかたない
どうせ気取ったところに行くのなら
違う男がいいと
思ってみたり
わたしは抜け目なく
避妊にだけは気を使う
きらいじゃなかったけど
やっぱり好きじゃなかったんだろう
暇でさびしかった
手近な男でしばらく間に合わせて
そのうち向こうだって飽きるだろうと
適当に考えてた
でもそんなある日
わたしの大嫌いな
職場の美人ちゃんと
彼が噂になったときはびっくり
どうも二人は
気取った場所へお出かけし
彼女の誕生日には彼が
ダイヤのピアスをプレゼントしたらしい
びっくりして
悔しかった
好きじゃなかったくせに
やっぱり頭に来た
人間って勝手だ
会社のトイレで涙しそうになった
理性でこらえたが
その晩は荒れた
バーでぶち上げ
知らない男とホテルへ
でも名前を隠していたら
免許証を見ようとする嫌なやつで
一瞬で醒めて
部屋から逃げ出した
誰でもいいから
寝たかったけど
知り合いを誘うのも面倒な気がして
やめた
最後に立ち飲みで
日本酒を一気
帰り道
道端で
吐きまくった
さすがに
もういいやと思った
泣きながらタクシーに乗ったら
おじさんが優しくしてくれて
うれしくて
もっと泣いた
本当は
ホテルでコンビニのお弁当食べながら
彼とダレた時間を過ごすと
癒された
誕生日を教えなかったのは
気を使わせたくなかったから
世の中が浮かれてるときに
浮かれたこともしてみたかったけど
恥ずかしくて
言えなかった
避妊してたけど
もしも赤ちゃんができたら
産んでもいいと
思ってた
きらいじゃなかった
好きだと自覚してなくても
これぐらいは傷つく
自分でも嫌になっちゃう
でも明日は平気だよ
なんでもない顔で仕事の話も
できるよ
君もけっこう
やり手だったんだね
一緒にお風呂に入ったことも
腕枕で眠ったことも
なかったことにしよう
わたしの大嫌いな
職場の美人ちゃんと
お幸せに
さようなら
ばいばい





自由詩 よくある職場恋愛の顛末 Copyright チアーヌ 2004-08-02 15:49:53
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