酔う
かんな

今夜はブルーベリー酒で、一杯
甘ったるいお酒が好きです
そうして甘ったるいことばを吐く

大した意味などないけれども
わたしは甘ったるさを舌で転がしては
その中に辛さを味わおうとする

グラスの奥底には
沈殿したリキュール、それは紫色の
マドラーがないのでストローで

クルクルとかき回すと渦巻く真意とやら
使ってみるけれども、つじつまの合わない
ことばばかりが空回る

つーっと喉を潤していく液体の
群れの中に、そうして
辛さを見つけることはできないけれども

わたしという女の薄情さは
飲み干したグラスを置くたびに
いくばくかの過去を追い払うと

はんなりとした余韻にひそむ
ほんの少しのスパイスのような現実に
酔わされていくのです


自由詩 酔う Copyright かんな 2008-10-19 08:00:06縦
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