猫と折れた傘から始まった試み 〜武甲書店におけるワークショップ〜
白糸雅樹


制作方法について:
2008年10月13日に秩父・ポエトリーカフェ武甲書店にて行った秩父お散歩ツアー&ポエトリーワークショップにて制作。リーダーイダヅカマコト。
参加者がそれぞれ持参した写真2枚と今村知晃さんの朗読写真5枚より制作。(制限時間:10分)
制作後、参加メンバーで交換しあい、制作した詩を翻訳。(制限時間:5分〜7分)
翻訳した詩をさらに翻訳(制限時間:5分〜7分)。翻訳を繰り返す。
参加者全員による翻訳を元の作者本人が翻訳するまで繰り返す

参加者:
イダヅカマコト、落合朱美、佐藤銀猫、白糸雅樹、(名称は50音順・敬称略)

元ネタの画像下記URLの今村知晃・白糸雅樹元ネタ
http://literture.jugem.jp/?eid=19

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(1)  銀猫持参の猫の写真および奥主榮提供による傘の写真から。
                           白糸雅樹


猫はエロだ
傘はエロだ
カーペットの上でごろごろするんじゃねぇ
コンドームみたいな皮膚を風にさらすんじゃねぇ
しっかり縛ったロープの先が地面にたれさがっているのが
ちょっといかすじゃねぇか
目を細めてひとを誘う
その鼻づらをちょいとつついてやろう
両手をあげて天までのびて
おまえにおれを刻みこんでやろう
猫はエロだ
傘はエロだ
折れてひしゃげた骨の枠組み

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(2)  (1)を銀猫が翻訳

長靴を履いた猫なら
傘はささないだろう
縛られたロープなど何処吹く風で
笑ったように目を細めるのは
結構よくあることなのさ
それより猫背をうーんと伸ばし
ココニワレアリ
それをオマエに知らせる方が
ずっとずっとむずかしい
折れてひしゃげた心のオマエに。

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(3)  (2)をイダヅカマコトが翻訳

ななめうしろから近づいていく
泣いている背中を見せて
うつむいて
声が走りつかれた息だけになった
あなたに
首だけをいっぱいにのばして
くちびるをゆっくりひらき
おはようと
今日も朝のように
呼びかけている

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(4)  (3)を落合朱美が翻訳

うちひしがれた人に
とりもどしてほしいから
私がかけることばは
いつでも朝
いつかきっと返してくれる
ことばを待っているから
いつまでもいつまでも
おはよう と
発しつづける
さわやかな朝になりたい

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(5)  (4)を白糸雅樹が翻訳

おはよう
わたしはさわやかな朝そのものになりたい
いつまでも曇天の下にいて
ずぶぬれになっているような人に
この朝をあげたい
おはよう
わたしは言う
おはよう
くりかえし、毎日
答えがなくても
おはよう
いつかは言葉が返ってくるだろう
おはよう、と




自由詩 猫と折れた傘から始まった試み 〜武甲書店におけるワークショップ〜 Copyright 白糸雅樹 2008-10-14 21:51:09縦
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写真を使った即興と翻訳作品@ポエトリーカフェ武甲書店 2008年10月13日