跛をひいてどこへ向かうの痩せこけた子猫たち
鎖骨




透明の四面体煌々たるフラクタル
車窓に映る顔までも重なる
数ミリの厚みの中でお前が僕に
僕がお前になって
内側と外側の面で少なくとも二度反射するのは仕方ないよね
けど僕らの像には
厚みなんてあっただろうか
未開の明日
という森を荒地を池沼を開き
繁茂していくようだ僕らの自我
攪拌される欲求混ざり合い分解されて
高尚な目的だけが残るはずだった
産まれてゆくそれらを
幼過ぎ小さ過ぎ盲目に熱を必要としていた僕らは
片端から貪ることを
ついにやめられなかった
だから死ぬまで燃え続けなければならない
これらはあるいは贖罪なのだから
死ぬまで無駄に増え続けることを選んだことへの
その象徴としての肉
その顕現としての精神
無駄なものがそこここに溢れている
認めなくてはならない
言葉や概念や真理でさえも庇いきれない
過ちがあることあったことこの先もそれを重ねていくこと
情も人間愛も儚さも共同幻想ももはや逃げ道にはできない
宗教は嫌いです商業歌は嫌いです詩もともすれば嫌いです
肯定できる対象がないのに否定することさえ否定されて
僕らは夢見る機械になって生きてかなきゃならない
あまいあまい言葉と教育のもと
人類はひとつだと合唱しながら笑顔で死んでいくのさ!





自由詩 跛をひいてどこへ向かうの痩せこけた子猫たち Copyright 鎖骨 2008-10-10 02:40:33
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