yo-yo

父のポケットに
ときどき手を入れてみたくなる
そんな子どもだった

なにもないのに
なにかを探してしまう
いくら背伸びしても届かない
指の先がやっと届きそうになって
そこには父はいなかった

はじめて父のタンスを開けた
肩が丸くなった背広の
胸のポケットから
枯れたもみじの葉っぱが出てきた
いつか置きわすれた
小さな手のように

なにかを
掴もうとする手が
ふと父の手になっている
手は
落ち葉をひろい
風におよぎ
草の手になって
秋の
ポケットをさがしている







自由詩Copyright yo-yo 2008-10-06 06:20:36
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