新米という季節
小原あき

伸びきった髪を
バリカンで刈るような作業
稲刈り後の田んぼは
すっきりとしていて
その清々しさが
秋の空気を絹のようにする


***


新米は少し水を少なくして炊く
十代の肌みたいに
少しの水で
あんなにもふっくらとするから


***


はさ木並木は
田んぼが草原のとき
何かの儀式のように
もくもくと立っている
きっとそれは
刈り取った稲に
最後の色づけをする
ための儀式なんだ


***


籾殻を焼く
煙は遠くの空に上がって
火葬されていく魂
灰は
明日の力になっている





自由詩 新米という季節 Copyright 小原あき 2008-10-01 19:27:25
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