愛撫
石川和広

なに
書いてるのかな

風がみどりの木をゆらしているのは
巨人がおどっているから
  と
彼女が申すので
書いてみた


僕が思うに、目に見えないってのは
風もそうだけど
見えないような感じなので
その実 音は聞こえている

 暗い部屋
に、ぐんぐん金と茜の重なった光が
差し込んでくる

ただ、ふたりが昼寝から目覚めて
カーテン開けただけ
 世界って
変わる

  うつくしいと感じるのは
ふたりが手をつないでるから
も、あるけど
贅沢なんだが

 もう風が巻かれてビルを抜けて
明確に その空気はぼくらの体中なでまわし
  とおい観音様の胸にもふれるだろう

すけべなものは美しい

風は
美だ


自由詩 愛撫 Copyright 石川和広 2004-07-30 19:51:13縦
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