ゴミ置き場
小原あき

昨日、暗くなってからした喧嘩は
今朝のうちに
昨日使った天ぷら油と
一緒に固めてしまうことにした
まだ熱いうちはなかなか固まらなかったけれど
なんとかゴミ出しの時間までに固まったので
きちんと包んで
ゴミ置き場に置いた


朝は誰だって忙しい
わたしも昼間なら時間はたっぷりあるけれど
朝に関しては
その一分、一秒も無駄にしたくない


ゴミ収集車が来た音を
片耳だけで聞きながら
わたしは玄関を掃いていた


ゴミ置き場用の
バケツと箒と塵取りが昨日
家の玄関の前に置かれていた
ここら辺の人たちは
ゴミ出しのマナーがきちんとしているので
ほとんど掃除することもないのだけれど


それでもやっぱり
連休明けはゴミが沢山出るせいか
いつもより散らかっていた


お向かいのおばさんの不満の欠けらや
変な匂いを放っている汁はきっと
道路を挟んだ隣の家の
しんちゃんの欲求だろうか
そんなことを考えながら
それらをすべて集めてみると
今朝、きちんと包んで捨てたはずの
わたしと夫の喧嘩の欠けらが混ざっていた


それはもう
冷えて固まってしまっていて
しかも欠けらだから
もう他人事のはずなんだけれど


それを拾い上げると
持っていたティッシュペーパーに包んで
エプロンのポケットにしまった


バケツに水を汲んで来て
しんちゃんの欲求を洗い流してから
わたしは家へ戻った



自由詩 ゴミ置き場 Copyright 小原あき 2008-09-26 15:40:12
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