あきのあお
紫音

夏の蒼が秋の青へ

パステル絵の具を撒いたような
明るく ちょっとポップな


広げたフトンで
大きく深呼吸
秋の匂いはちょっと土くさい

まだ緑だか茶色だかわからない
隣の家の木は
いったいなんて名前だろう
大きくて広がっていて
でも
空に手を伸ばすよりも
土が恋しそうな木

そういえば
夏は あの木から
草の青い匂いがしたんだっけ
それとも
庭から

もうすっかり匂いは乾燥して
少しカサカサ音がするんだ
おかげで部屋の中まですっかりカサカサで
フトンは乾くけど肌もガサガサで
ついでに咽も水分足りない感じで

こうやって年をとっていくんだ
なんて感傷に浸ってみるのも秋だから

腐っていくのと乾いていくのと
同じ死んでしまうならどっちが良いだろう

どちらにしても
夏の青い匂いにさえ
ならないのだ
けれど

きのう掃除をしていたら
十年前の秋の写真が出てきて
思わず笑ってしまったのは内緒

十月なのに
なんて夏っぽくて暑苦しいんだろう
いまも そうだったら  嫌だなぁ

秋は秋らしく
枯れ始めたなら
せめて華麗に

土の匂いのように
土に還るように



秋の青は

少し懐かしく


  淋しいくらいでちょうどいい



自由詩 あきのあお Copyright 紫音 2008-09-24 22:20:20
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