投身
伊月りさ

片足を曳いて
空を登る
これは頂上から下げる予定の頭
導く、斜陽は赤く、大きく
目を伏せる、花は白く、不気味に
大きく
わたしを
きみを
祝福して
大きく散るだろう花の学術名を手探ってしまった
竦むわたしを殺したい

靴の裏が青いインキなら一本の川になっただろう
毎日同じ道を通らされた十代に
諦めをおぼえ
るしかなく
世界が悔しく
独り善がりの革命で棄てたはずの生き易さが
ここまできて懐かしいわたしという人間にさようならをするのだ

一滴も遣らずに育った
届かなかった逞しさをブーケにして
ああ、見ておいで、きみ
これがその証明だ
わたしの命はいまに大地を撃ち抜くだろうから
両親を抱きしめてきなさい
恋人を抱きしめてきなさい
贅を尽くした食卓を用意しなさい
そう告げながら掲げる
わたしの愛は冷静である

光る、夕陽を受けた暴言の刃先
墜ちる先に
貫かれても構わないのだ、と
微笑んだのは
きみの為なわけないだろう
わたしは雲を千切りたかった
この花弁に触れた者がみな同じ道を辿ればいい、と
ここまできて卑屈なわたしという人間さようなら
さようならさようならさような


自由詩 投身 Copyright 伊月りさ 2008-09-20 01:18:07
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
落下光