ジャンキー
佐々木妖精

乳母車からはみ出した者へ
薬を与え続ける
金で夢が買えるのだと
無防備な口から漏れる声を
塞ぐ優しさなど知らずに

俺は夢を買ったのだ
たまに二枚以上入ってる
ラーメンばあなら見抜ける厚さ
たがラーメンばあは妥協の形
山盛りのビックリマンチョコ
鷲掴んで舞う子供
レアシールの二、三枚
急勾配でぶちまけようと
もう泣かない次元で買い込んだ
俺は夢を買う人間
夢を叶えた大人
期待値追ってぶん回し
夢に埋もれて車輪を回し
高みからダブリをばら撒く
拾うがいい金なし子
拾うがいい夢を捨てた大人
チョコもばら撒く進駐軍

俺はカミカゼバンザイアタック
君はカミカゼサヨナラアタック
我々は往復する片道の燃料で
ヘドロから土くれへとんぼ返る
どうせ死ぬのだと呟く人
なぜ死んだと嘆く人
横転した乳母車を置き去りに
車輪だけが移動する

ボックス買いすればよかったと
ハズレくじばら撒き嘆くなら
自由へと踏み外せばいいのに
恐る恐る覗いた1階は
やかましく私有地につき
誰の子を蹂躙するか
分かったものではないと
迷いの中へ引き返し
乳母車を押す老婆を眺め
追い風を吹く


自由詩 ジャンキー Copyright 佐々木妖精 2008-09-19 05:03:12
notebook Home 戻る