ひかり/音楽
石田 圭太

 
 
かみさまという鏡のような未来は
ぽろぽろとこぼれながら
なにか悪い事を口にしかけて、
小さくなっていく産声
どうやらここは初めから
ちきゅうという
名前もないどこか遠いところ
生まれた人々が深く頷き合って
坂の上から、下から
連なり合って昇っていく
ふさわしいひかり
せいかつの灯
 
 
世界がいちばん小さくなる日のことを思うと
自分の呼吸が許されて
いつかこんなふうに
いつかこんなふうにと
言葉が優しくしてくれる
とても美しいものを
たくさんの天井から降らして、ひかりは
なにか得体の知れないものを
数えている
 
 
いのちと認められた
いきものやものたちが
日々のように歌いだす
これも誕生で、あれも誕生
死ぬこともしないで
産まれ続けて
一体
どこに浮かび上がり
どこに染み込んでいくのだろう
 
 
心臓が甘くかじられて
世界は咲きこぼれた
音楽という人が今
美しく笑っている
 
 


自由詩 ひかり/音楽 Copyright 石田 圭太 2008-09-12 09:48:37縦
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