まるで今のわたしみたいに
小原あき

地球を飼いたい
掌に乗るくらいの
小さな小さな地球があったら
わたしはそれを飼って
今度こそ
大事に大事に育てたい
毎日、綺麗な水をあげて
毎日、空気の綺麗なところで散歩をさせて
熱が出たら病院に連れて行って
お薬を飲ませて
ふかふかのベッドで安静にさせる
掌に乗るくらいの小さな地球は
きっと、わたしになつくだろう
呼べばすり寄ってきて
その小さな生態系を
わたしたちが理想とする生態系を
嬉しそうに見せてくれるだろう
そして、その中に
わたしに似た人間が
こちらに気づかずに暮らしているのが
見えるかもしれない



掌に乗るくらいの
小さな小さな地球があったら
わたしはそれを飼って
今度こそ
大事に大事に育てたい
わたしの飼い慣らした地球は
人類を滅ぼさない
ずっとずっと
春が来て
夏が来て
秋が来て
冬が来る
それは終わらない
地球はいつまでも
子供のように無邪気なまま
わたしたちが理想とする生態系のまま
わたしの掌の中で
毎日、安らかに眠る



掌に乗るくらいの
小さな小さな地球があったら
わたしはそれを飼って
今度こそ
大事に大事に育てたい
だけど、この大きな地球はまだ
掌に乗るくらいの
小さな小さな地球を産む気配はないようだ
もしかしたら地球は
まだ、成長の途中で
これから様々な生態系を経験しながら
地球自身が一番理想とする生態系を
探し続けているのだろう
まるで今のわたしみたいに





自由詩 まるで今のわたしみたいに Copyright 小原あき 2008-09-03 18:46:51縦
notebook Home 戻る