おれさま
佐々木妖精

私は大変な気分屋だが
きみの前では落ち着き払いたい
顔が保護色ならば完璧なのに

私は大変な詭弁屋だが
きみとの討論を望まない上に
出会った人の数だけ私がいるため
本当の私とは身体のことなので
むっつりしている

私は大変プライドが高いため
ありがとうを言えずにいるのですが
言わなければならないと思う
親に初めて言えた頃にはもう
ブリーフを卒業していたし
祖父に言えた頃にはもう
他界していたのを覚えており
友人に言えた頃にはもう
泥酔していた

私は身体を道具であると考えているので
バラすことに熱心ですが
きみを分析しようとは感じない

私は大変甘やかされた長男だが
高尚でありたいと願う故に
一切れの卵焼きに箸を伸ばす無礼を
許そうではないか
とっておいたひとかきのメシを
八十八回噛もうじゃないか

私は私のことばかり話していたいのですが
きみの話は聞いてみたい
うまかったか


自由詩 おれさま Copyright 佐々木妖精 2008-09-02 21:34:01縦
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