詩とは何か【詩とは何か祭り参加作品】
プル式

せっかくなので参加しようかと思う。
まず、はじめに、純粋に「君にとって詩とはなんだ」と聞かれて答えるだろう事は「記録」であり「記憶」である、という事だろうと、僕は、思う。詩に僕が書く事柄は、明らかに僕の頭の中で構築された物で、大げさに言うならば、日々の中で生まれた結晶みたいな物だからだ。童話もしかり。しかし、宝石などでもそうだが、磨かれていない結晶は別段輝く物ではない。削って、磨いて、初めて商品価値が付随される。つまり、手間賃なのだ。原石のままで美しいものも、確かにある。磨けば傷が浮き出て、逆効果となるものも、もちろんある。しかし、それを選び「原石をどうしてやろうか」と考えるのが、作品としての手間賃に値する対価だと思うし、できれば、そうであって欲しいとも、思う。

人の事をあまり知らないので、何とも言いがたいのだけれど、先日、少し詩の朗読について人と話す機会があったのだけれど、その時、どう読むか、という話になった。この、どう読むか、は音読、黙読、読解、を含めた、どう読む、であったのだが、僕の場合、人の詩を読むとき、一度、自分の中に言葉として取り込み、それから、頭の中で再構築しながら読む。だからもちろん、いや、多分、作者の思惑の読み方とは異なる。たとえば、

一度、自分の中に言葉として取り込み
それから、頭の中で再構築しながら読む
だからもちろん
いや、多分、作者の思惑の読み方とは異なる。

この上記の内容が詩だったとしよう。この場合、説明的に説明するなら、1行目、2行目、は別の人物が続けて読むイメージとなり3行目に至っては、つぶやき、というか、声にすらならない心の中身であり、4行目はさらに無声音(息のみで話す声)でシャーシャーと泣く様な、感じ、という読み方をしてしまうわけだ。そういった意味で、他人の詩とは、僕の中にある、物語の参加者であり、登場人物として、時に恐怖や喜びを与える、ドラゴンや、道化や、タンスの引き出しみたいな物なのだ。
 なにを大げさな、と思うかも知れない。確かに大げさに書いている。だが、こういった考え方も、一つの事実で、おかげで僕は童話やら、詩を書く事ができる。人の詩をみて我が詩をなおせ、ではないけれど、書きかけのタイミングで人の詩を読んでしまった場合、まず、新しい物語に引き込まれるのは、僕だけか?そうか。まぁ、僕の場合、そうやって読み込んだ詩の流れや、例えば、文末毎の空白のデコボコした形に思いを乗せて、小さな小人が視界の中で、えっちらおっちら上り下りをしている時もあれば、いきなり視界その物がトリップする事もある。割とある。一応書いておくが、別に変な薬などはしていないし、精神状況も、まぁ、健康的だと思っている。

2ヶ月ほど前から「ポエトリーリディング」という物に参加しているのだけれども、これは「詩とは何か」について考えさせられる。と、同時に「人とは何か」という事も考えさせられる。僕の参加している会は実に、ゆるい。歌、ラップ、即興、何でもありだ。共通するのは、言葉で、声で、何かを伝える、という事だけ。まるで自己啓発セミナーみたいなその場所は、初め、少し怖いな、と思ったのだが、入り込んでしまうと、実に居心地がいい。それは多分、常に世間から否定される側のものが、散らかし放題になっているから、なのではなかろうか。と思う。
僕だけかも知れないし、他の人に聞いた事もないのだけれど、だからこそ聞いてみたい。

「詩を書くって恥ずかしくないですか」

いや、僕は素直に恥ずかしい。なぜなら、それは僕の全裸だから。しかし、そういった意味では恥ずかしくても、僕の知り合いたちには僕が詩を書き、童話を書いている事を知らすし、隙あらば読んでみてよ、と渡したりもする。おこがましい。僕は詩人だと思っていないが、アーティストではありたいと思っている。だから、僕は自分の作品は世の中に見せるために、原石のままではなく、こすこすと削り、手間をかけている。それが僕の結晶だから。

と、とりあえず、詩について書いてみたのだけれど、こんな感じでいかがでしょう?もしかしたら、気取り過ぎの癖に、誤字が多くて読むに値しない、なんて言われるかもしれない。詩を書くときは気にするのだけれど、童話を書くときは、ほとんど誤字を気にしない。一発書きで、さらっと目を通し、あからさまな物だけ直す程度である。もともと、詩も、童話も、僕の思考形態であり、僕の思考形態が、意識中の声である為に、音としての文章なのだ。だから、実際には発音が同じなら、文字などは何だっていい。ただ、その意味を、より、正確に伝えるための媒体でしかないのだ。だから、文字に固執はしていない。

と、彼女にそれを伝えたならば、読んで誤字を見つけて、がっかりする人の気持ちも考えなさい、とおこられた。


散文(批評随筆小説等) 詩とは何か【詩とは何か祭り参加作品】 Copyright プル式 2008-08-26 17:41:04
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