カラカラカタカタ
紫音

雨も夜明けも飽きてしまった
漫然と死にゆくために
生きているわけではないはずなのに
すっかり感覚も磨り減って
のびきったゴムのように
慣性さえも失くしてしまった
あたり前の情景が
八ミリビデオのようにコマ送りの細切れで
切り取る術すらないまま
いつしか今日はテープが切れて
カタカタとリールだけが回っている
何を映し出すつもりだったのか
趣きぶかいセピアですらなく
カラーですらなく
落書きの線画のような
自分
腐りゆく自分
もう
切れてしまったのだろうか
そんな恐れさえ           心地よい

いっそ全てデジタルにして
上から水をかけて静かに埋葬すべきだろうか
なにも
残らない
   ように


自由詩 カラカラカタカタ Copyright 紫音 2008-08-17 02:02:53
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