頑張ってのひと
恋月 ぴの

「頑張って!」
と思わず口に出してしまう
それは頑張っている他者への共感であり
ふりかかる火の粉を払おうとする
ある種の逃げ口上とも言い得て

決して自分の事ではないのだから
「それじゃぁね」
それぐらいの軽妙さを保ちつつ
いつも応援しているからと
ファイティングポーズでおどけてみせた

ことばの無力ってことを覚えても
四年に一度の季節だから
突き進むひたむきさに心打たれ
そして
あくまでも他人事の気軽さで
「頑張って!」
身を乗り出して叫んでしまう私がいる





自由詩 頑張ってのひと Copyright 恋月 ぴの 2008-08-16 17:47:37縦
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