働くひと
恋月 ぴの

今日も一日誰とも話さずに終わってしまう
仕事柄何十本もの電話をこなし
お昼には職場の友だちとランチなんかしたけど
それで誰かと話したってことにはならない

パソコンの電源落として
机のまわりとか整理整頓して
タイムカードには定時退社の時刻が並ぶ

わたしがこの会社に入ったときには
すでに制服は無くなっていた
無い方が良いってひともいたりするけど
おしゃれな制服って憧れるし
オンオフの切り替えできないままに
漫然と一日を過ごしてしまうような気がする

そう言えば職業婦人なんてことばあったよね
らいてうさんの新婦人協会とかのにおいがすることば
新しい女のあり方を模索したとかで
何だか進歩的な雰囲気あるけど
どうもぴんと来なくて
女の自立って制服のある無しよりも大切なのかな

らいてうさん達の活動があってこそ
わたし達の今がある
そう思ってみたい気もするけど

あちこちのビルから出てくる
ひとの流れに逆らうことなんか出来なくて
ビッグイシューをかかげる帽子のおじさんの脇をすり抜け
東京駅丸の内北口への交差点を渡った




自由詩 働くひと Copyright 恋月 ぴの 2008-08-06 19:01:06縦
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