先生、質問があります。
笹子ゆら

なぜ、と
疑問を投げかけていたらきりが無いのですが
それでも脳内に渦巻いているそれらを
抑えておくのもどうも滑稽のような気がして
連絡帳を出すときにそおっと、
母の書いた言葉の後に慣れないボールペンで質問を
幾つか書き足したのを覚えています。

答えはあったのでしょうか。
きっと、親切だったあの先生は丁寧に
わたしの一番よろこぶような答えをくれていたのだろうに
今となってはもう、思い出すこともできません。

こうしてあの時から少し経って
わたしも歳を何個か重ねて
絶えることのない疑問はそのまま
心の中でしずかに萎んでいってしまった、
ようにおもうのです。

無理矢理にでも答えを作りだしてゆくこの時代に
わたしはそぐわないのかもしれません。
ひたすらにただ、欲しいだけであるのに
それすらも許してくれないようなので
口をつぐんでしまいそうになってしまうのです、否。


「先生、質問があります」




自由詩 先生、質問があります。 Copyright 笹子ゆら 2008-08-06 00:23:41
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