誰でもよかった
砂木

蜂の巣が近いらしい
家の裏山の方へ行くと
飛んでいる蜂と ぶつかりそうになり
私も蜂もあわててよける

洗濯棒の近くの花の中で
仕事中の蜂も時折いるけれど
そっと ぱたぱた 洗濯物をかけても
私に興味を示さない
せっせと 蜜でもとっているのか

しかしもし 怒らせたなら
命と引き換えに針をだし
私を殺そうとするだろう
自分を守るために
蜜を守るために

私は やろうと思えば
殺虫剤で
もっと卑劣なやり方で
花に夢中な蜂を殺せる
もしかしたら 私を襲うかもしれない
という可能性を 捨てきれない

あの人もどの人も 誰もが私をやれる
私は弱い
でも今 花に夢中なあの人は無防備だ
あの弱そうな人なら 私でも勝てる
私より弱い人なら誰でもいい
ゴールし勝つためには

洗濯物 干し終わったか

もう少し

終わったらお茶にしよう
ちょっと 座って休め

はーい できた
よしっ 休憩

風に 洗濯物と花が揺れる
蜂が 私から離れる

お昼は何を食べようか

何でもいい

何でもいいじゃ困る
蜂 食べるか

まさか 食べないよ
でもなんでもいいよ
ほんと
なんでもいい

















自由詩 誰でもよかった Copyright 砂木 2008-08-03 23:07:54
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