断片集「まり麩」
簑田伶子

一.


感度のよい
センサーライトが
いきばのないくらいに
点る

道は足に
ぶら下がったままで




二.


ひまし油
(メルセデス・ベンツのブレーキホースの原料)
(下剤として)

かきまぜる先で泡立っている
まだわかいゆうぐれ/しかたのない女




三.


句点も読点もなかった
ただ
なんど折り曲げれば
空にとどくかなんて
くだらない話が
やたら空をささえている




四.


皿と皿
割れる素質がひたいの
ようにきれいだと
ふろしきをひろげる手に
ゆだねる
強い子




五.


きたないからさわってはいけない、といわれた
鳩をもう
鳥としか呼ぶことができないのに
わすれそびれている 善良な
こころをまだ
こころだとおもっている




六.


この部屋の四角さがわかるなんて
今日は天気がいい







自由詩 断片集「まり麩」 Copyright 簑田伶子 2008-07-11 18:54:25縦
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