生きる力。
Izm

 
なんで なんで と
聞きたがる あの日は
まだ何も知らぬ
真っ白なコドモだった。

笑ったり 泣いたり
知らん顔で通り過ぎようとする
オトナを見れば
少しずつ 少しずつ
歪んで歪んで。

ただ前を向くと
そこには また
「なんで なんで」が現れて
わたしは コドモのままなのだ。
歪み 黒く染まった。


愛とかエコとか言って
人間が壊していくのに。

見直したところで
まだ戦争は消えずに
「なんで」と言えない少年は
銃を持ち 重圧で死ぬ。

肌を溶かし 骨を溶かし
原子爆弾が命を奪う。
次世代までもを奪い去る。

婆ちゃんは被爆者でした、
爺ちゃんは腕に銃弾を残したまま死にました。

それが過去になりました。

だって わたしは
意味も理由も
そんな現実を
リアルに感じていないのだもの。

何を失い
何を得た?

技術は進み
なにも知らぬまま
繰り返すだろうか。

なんで なんで
その声に
わたしは答えられるだろうか。

死にたくない と
肌を焦がし
力なく倒れた命を
感じていたい。

わたしは もう
なんで なんで と
言えなくなるんだ。
きっと。


自由詩 生きる力。 Copyright Izm 2008-07-11 14:33:22
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