似た光
わら

朝が月を殺す頃

その細い首をきゅっと絞めあげて

太陽がごうんごうんと鳴りはじめ

白い光は
精液みたいにとろりと落ちて


ぼくは生まれてこなければよかった、
と思うのです






怖くて
そんな確かな視界のあらゆるが怖くて

意識を、己をかき乱すように
また酒を喉の奥に飲みこむ



たぶん、
俺は俺を殺したいのだと思う


こんな日には
耳鳴りが鼓膜に響く


ライトが遠くで揺れていた

髪がさけぶ



死ぬ気で生きているのか?

死ぬために生きてるのか?

そんなこともわからなくて


こんなうたが最期だったらなあ

とぼとぼと帰り道
家路の間際で
なんだか、すこし泣けてきた






あの光がまばゆくて
ぼくはいつも言葉を見失う

音をきく度に
ぼくの言葉は無力だと思う





乾きゆらぐ意識の片鱗

目を細めて

溶けるような眼球の隙間

暗闇の中
太陽のそばで
焼けてほころぶ冷たいそれが

どうか、罪でありますように




便器の底にゆらめく胃液が
どうか、光でありますように



ああ、神さま
どうか、ぼくが罪人でありますように



ああ、どうか
耳鳴りが消えませんように





















自由詩 似た光 Copyright わら 2008-07-05 01:01:23
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