思い出せる
チアーヌ

もう忘れてしまったから
思い出せる
縦に細長い
三角屋根の家は
白い壁に
木の階段
小さな抽象画が
三つ
上って行くと
グランドピアノと
背の高い譜面台
バルコニーには
テーブルと椅子
風が吹いていた
さらさらと
音がした
恋だったのか
わからないけれど
胸が詰まった
もう二度と訪れないと
知っていたから
わたしの場所
なのに
もう覚えていないから
思い出せる




自由詩 思い出せる Copyright チアーヌ 2008-07-02 22:34:13
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