夜夜中
嘉村奈緒




きみと
きみときみを囲む白い壁と
きみの大層な毛皮がよく見える
首が痛くなるまで星を観測し
今はまだ冬至、これからこうなって
ああなって
こういう風に動いたらあたたかくなるのさ
とか
毛皮は夜露が冷えてしゃりしゃりとしている
楽しいのか楽しくないのか実際にはわからないけれど
喉の奥からるるるるると聞こえるときは
たぶんいい気分なんだろうと思う
知らない国で
きみと同じような大層な毛皮を
ひとつの鉄砲が狙っている
何てことのないただの鉄砲をかまえるハンターたちは
きっと荒くれだ
そんなだから力強く星をぶつけられて目を回すのだと
白い息を吐きながらごちると
きみは体をぶるぶる揺らすものだから
しゃりしゃりとしたものが壁という壁にあたって
小さなベルのような音が続いた






 


自由詩 夜夜中 Copyright 嘉村奈緒 2008-06-27 22:39:59
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