傘
1486 106
公園のブランコが濡れている
灰色の空が水溜まりに映っている
飛沫を上げて走り去った車に
靴下の中までびしょ濡れ
今頃君はなにしているのかな
あれは確か去年の6月
ちょうど今日のように雨の日
傘を忘れた君のために
近くの駅まで迎えにいったね
電車から降りてくる君を驚かそうと
改札の前で待ち伏せしたんだ
だけど君の分の傘を忘れて
仕方なく同じ傘で帰ったね
一人で歩くには少し広い
二人で歩くには少し狭い
はみ出した肩に水滴が落ちても
あの時は少しも寒くなかったのに
降りしきる冷たい雨の中
僕は一人で家路につく
今頃君は遠くの町で
誰かと手を繋いでいるのかな
少し狭い傘の樹の下で
自由詩
傘
Copyright
1486 106
2008-06-24 18:46:29