夜の散歩
縞田みやぎ

 


1ミリ2ミリを計るではないが
確かに
傾いていく肩だ

 さっき歩いた道はもう充分だし
 もう通んなくてイインだヨイインだヨ
 
リズミカルに弾いてみせて
わたしを追い抜かす 笑う 笑う
それでも
傾いていく肩がかなしい

引き潮の時間を
わたしたちは知っているのではないのに
帰る場所と時間
注がれる水を知っている
夜の散歩
オトウサンとわたしは
歩幅がだいぶん違うから
目の高さも違うから
2人分の夜と 2人分の散歩
2人分の波の音がする

その時を知っているのではないのに
引き潮
波の音がする

 目尻のシワはシアワセのことで
 イイモンなんだってさあねえドウよ

傾く肩はそれでも
笑うリズムを知っている
オトウサンとわたしは
夜の散歩 引き潮の気配を
知っている
波の音がする


 


自由詩 夜の散歩 Copyright 縞田みやぎ 2008-06-15 00:57:27
notebook Home 戻る  過去 未来