Re:
わら

あのとき、偶然
だれにも声をかけられていなかったなら

ぼくは今ごろ
ここにはいなかったのだ


偶然、生きているぼくは

今日も、また改札口をぬけ

ケータイを開き

牛丼を食い


だれかと会って 

何気もない話をし
相づちをうち
はにかんでは

じゃあ、また
と言う



偶然、生きているぼくは

もし、あのとき死んでいたなら

そんなアナタにも出会えなかったんだと知る




シャッターを押すように
いま見ている景色をつかみとり
たしかめようとする 



尊さと呼ぶには
なんでもない日常であり

ぼくのつくろいも変わらないのだけれど



今が
あの頃の未来なのだとして
輝かしくもない、このセカイも


偶然、生きているぼくは

その自嘲も
はかなさも



意識の羽音 


この平穏に
こぼれ落ちそうになって


ぽつり、
と沈む 
















自由詩 Re: Copyright わら 2008-06-14 10:32:15
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