お子様ランチ
1486 106

子どもの頃夢中で集めた
爪楊枝でできた小さな旗
戸棚の奥から急に出てきて
捨てようか一瞬悩んだ

デパートに行く日は隠そうとするから
着いていきたくてだだをこねた
5Fのエレベーター降りると駆け足で
窓際のテーブルに走り込んだ

上下に動くパンダの乗り物よりも
月に一回買ってもらえる玩具よりも
僕が楽しみにしていたものは
クリームソーダとお子様ランチ

ケチャップライスの山を崩して
スプーンで勢い良く平らげる
人参をちゃんと食べられた時は
優しく頭を撫でてくれた

あの頃は出来ないことが多すぎて
早く大人になりたいと思っていた
だけど成長していくにつれて
出来ないことが増えた気がする

お子様ランチを食べたいな
メニューを見てるとたまにそう思う
恥ずかしくて聞けやしないこと
僕は大人に見えますか?


自由詩 お子様ランチ Copyright 1486 106 2008-06-11 20:13:13
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