青色
水町綜助

海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波打ち際まで
立ち止まって
靴先を見ると
濡れていた
砂まみれ
島に囲まれた
静かな海は
太陽を浮かべて
オレンジ色
少しだけ
赤すぎる
溶けだした
高い温度
赤すぎる
砂を洗い流しながら
戻ってく
金色の沖へ
モザイク模様
生きているんだ
動くから
見つけられない
砂つぶは
引いていく波の
透明さの
中で転がる
きらきらしてる
何粒も
何粒も

背を向けて
あるく
風は海から
ふいていて
髪の毛が
顔にかかる
目を瞑って
あるいたよ
砂浜を
母の座っているところまで
足が砂浜にとられる
靴先はもう

まみれ

秋の空気は黄色いね
透き通っていて
発光してる
黒い車が
うそみたいに
海を映してる
そのドアを開け放して
母は眠っている
少し笑って
しあわせそうに
安心してるね
僕は悲しくて
靴先をみた
手のひらに
砂がついていた
何一つ触れていないのに
手を開くと
きらきらひかってた
きらきらひかってた
ぜんぶ

振り向いて
海をみると
金色の浜辺には
夏の暑さを
流しきった
海を背に
子どもたちが
走り回っていた
わらいながら
わらいながら
わらいながら
たのしそうに
わらいながら
わらいながら
わらいながら
わらいながら
わらいながら
わらいながら
たのしそうに
あしあとをつけ
水をけたて
走りながら
わらっていた
わらっていた
わらっていた
たのしそうに
わらっていた
わらっていた
わらっていた
わらっていた
わらっていた
わらっていた
わらっていた
わらっていた
季節が終わり
しらないまま
ぐらりと周り
秋がくる
たのしそうに
わらっていた
子どもたちの
あしあとが
たくさんの
海の水をためて
空を映し
その色は
あおっていうんだ






自由詩 青色 Copyright 水町綜助 2008-06-11 03:01:50
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