松本 涼

たくさんの夢を見た

それはまるでそこが故郷のような
戦時中の異国であったり

今はもういない家族と一緒に
得体の知れない大きな敵と戦ったり

全てを飲み込む水が押し寄せる街の中で
高い屋根から更に高い屋根へと飛び移ったり

同じ夢を繰り返しも
違う夢をその度にも
たくさんの夢を見た

昔住んでいた家の庭を懐かしい犬と
噛み付き合いながら転げまわったり

優しい宇宙人といつまでも
時間について話をしたり

必要以上に煮詰め過ぎたスープが
信じられない位美味しく仕上がったり

可笑しな夢を何度でも
見知らぬ夢をその度にも
たくさんの夢を見た

そしてそこに居る僕はいつも
現実の僕よりもずっと
必死なようだった

いや
きっとそれが
僕という現実なのだろう







自由詩Copyright 松本 涼 2008-06-04 21:23:19縦
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