巻頭 十二月
縞田みやぎ

12/9

ばらっ ばらっと こどもたちがかけて
うたをうたうひとは すこしだけ
しずかになった
あれは はとではないね
はといがいのなまえをしらないのだけど


12/10

きん と ぎん と はなのかげに
おだやかなホッチキスがあります


12/1

こどもたちの息は馬鹿みたいに
食べ物のにおいばかりする

風が強いね
ああ ポストがあるね


12/13

(消しましたよ
(ログはとってあります
(何かあったら連絡ください
(名乗ります



12/14

紙をあげます
7枚はあげられないので
5枚くらい
あした 机の上に置いておきます



12/15

ふたつしたのいもうとがうまれたあたり
わたしゃ まだ かみさまのりょうぶんだから
だから このせかいにたって ずっと
あのこといっしょにいるってけいさんです



12/19

ア ア ア
また言っている



12/20

わたしはむらさきのくつしたをはいていて
どうろのわきには
くびのおれたたぬきが よせてありました



12/21

ぬあん ぬあん ぬあん と
なわとびがゆれています
あちらのはじをもっていたのはだれですか
こちらのはじをもっていたのは
あ ちょっと まって




12/22

弟の首にしっぽをまきつけて
猫の子と 猫の子たちは
ああわたしの名前だけ残してください
約束のように呼ぶよりも



12/23

「やりよう」という言葉を辞書で。



12/24

わたし うたう
いっしょけんめ うたう
しんでいったこどもと うまれたこども
しんでいったこどもと うまれるこども
うたうよ
うたうよ


いもうとに「なんでこんな風な詩を書くの」と訊かれました。「一個や二個の単語で書けなかったから」と答えました。「日本語を上手にうんと的確に使えたらわたしは口などきかなくてもいいのかもしれない」二人でエスカレーターに乗りました。「でも読めるからいいと思う」と言われました。
ミルクや砂糖の入った紅茶は、きっと、こういうことのためにあるんじゃないですか。



12/26

きりわけるのがすき
これはあなたのぶん これはわたしのぶん
どれもおなじようにわけるのだけど
これがあなたのぶん これがわたしのぶん
わたしは やさしいくべつが すきです



12/27
初めてフィルムのカメラを手に入れました。フィルムを買いました。ふんぱつして5本入りにしました。フィルムのつけかたがわかりません。おひさまがのぼってしまう。おひさまがのぼってしまう。


(追記:ちゃんと巻き方わかりました。でも巻き取りの具合がわからなくて適当にぱしゃぱしゃやっているうちにいつのまにか数字が出てきました。あらここまで巻き取らなくちゃいけなかったのね。1枚目よりも更に前のあたりにはいっぱい多重のかげがうつってしまって。のら猫を3匹見ました。)


(追記2:レンズカバー取ってなかったぽいです。)


(追記3:仕事に行くのを忘れていたような。)



石垣りんさんが帰天されました。
彼女の詩を読んで詩人を志した子供時代を思う。
やりとげられましたでしょうか。
僕は,まだまだです。


年末年始帰省するので更新できるかどうかはわかりませんがどうでしょう。


12/28
りんごの皮をむく 午前に
重さがなくなっていくなら どんなにか
安心したでしょう りんご
なくなっていくのは色ばかり 午後に





自由詩 巻頭 十二月 Copyright 縞田みやぎ 2008-06-03 00:02:10縦
notebook Home 戻る  過去 未来