来客とずさんな回答
縞田みやぎ

電灯のスイッチが見当たらなくて
君の顔が見えませんでした
夕暮れで 僕は
君に飲み物を出したろうか
僕は君に 飲み物を出したろうか
それはもう三日も前のことだったろうか と

オーガンジーが幾重にも
君の好きな音楽とのあいだに
耳を置きましたか 
あるいは 活字でしたか
一晩を越える 寝台車のように
僕たちは今日も
ふたごにはなれませんでしたか

音楽をかけてください
音楽をかけてください
君の好きな音楽をかけてください
できれば 僕も知っているようなのを
あるいは君のいっとう好きなものを
あるいは

むらさきいろに日暮れていく から
そんなにも器が かわくなら
おかあさんは 帰ってこいって 言ったんです

部屋の中にはもう先から
やたらに砂や食べこぼしが あって
僕は
寝室に草花を生やして
きっと うるさくてうるさくて眠られない

そうした さいわいの夜を 思いました


自由詩 来客とずさんな回答 Copyright 縞田みやぎ 2008-06-02 00:06:36
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