景色
小原あき



わたしのいつも見ている景色です
ありきたりです
でも、たまに
はっとして
おもわずカメラで収めたくなります
記憶に留めるだけの時もありますが
後に悔いてしまいます
焦ってカメラを構えても
もうそこにはいないのです

そんな時は景色が話し掛けているんです
あるいは軽く肩を叩いたりしてます
そんなことは
詩を書かない夫にもあるみたいです

ここは静かな田舎町だから
景色の話し声が
よく聞こえるのかもしれません

都会に旅に出ると
田舎者のわたしは
その綺麗さに圧倒されて
街の活力で耳がいっぱいになってしまいます

そうすると景色の話し声を
逃してしまうことがあります
それは決して悪いことではないのです
景色は出番を焦らないから

ホテルの部屋で
旅の満足に浸っていると
窓のところから景色が呼びます
景色はわたしが田舎者でも
気さくに話し掛けてきてくれます
普段話し掛けてくる田舎の景色よりもあか抜けてます
立ち並ぶビルの飾りを着けた
夕暮れの優しい語り手でした

旅から帰ってくると
いつもの景色がおかえりと肩を叩きます

旅先の都会の景色を教えてあげると
そんなのは知っているさと言われました
彼らは繋がっていたのですね


携帯写真+詩 景色 Copyright 小原あき 2008-05-15 11:51:01
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