春おぼろ
LEO

素足に若草
浅く緑の
木々は萌え
目眩するほどに
花曇りの日なら
なおのこと
生まれたてのそれらは
やわらかに躍る

耳に愛しい鳥の名を
春になるたび
あなたに訊ね
匂い淡しい花の名を
ひとつ覚えて
ひとつ忘れて
幾たび春は
変わらぬ眩しさ

やまぶき花に
目をくれて
泳いだ指先
棘を食み
つっと
滲んだ一点の赤
痛み
消える頃には
いまを忘れ
おくる季節の
間に間に
つぎ来る春を
懐かしく想う


自由詩 春おぼろ Copyright LEO 2008-05-12 23:57:59縦
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