うのはなくたし
杠いうれ

おまえ、
わたしたちはけっしていっしょには成れないね
いっしょにいることはできるのに
へんだね

いっそ外国へいってしまおうか、
いっそ、なんて云わなくとも
理由や意思や罪性なんてよういしなくとも
いいのだし

 
 たくさんの老いた藤のかんざしのした 待つ
 ふたりともこわれた靴を履いている
 不法投棄の埋まる砂場が しんだまちを呑むダムになる
 見限った蜂を倣って
 爪のみじかいゆび それをひいて
 線路は褪せた黄色を流す それをきいて  
 ふたりともこわれた靴だから春でもつめたい、と それをみて
 有刺鉄線にからみそうな、しろい花
 ふたりともかさはなくて
 それでも、


 きっとおまえに似合うだろう
 と
 せいけつな生糸を
 想う 

 しろ、だ



おまえ、
わたしたちはしっているね
やわらかいものとやわらかいものが触れられること
それを敢えて 
からだでこなす、
ということ



自由詩 うのはなくたし Copyright 杠いうれ 2008-04-30 03:22:07
notebook Home 戻る  過去 未来