ピンポンゲートなひと
恋月 ぴの

女子トイレに入ってきた
あなた
あっと小声上げたと思ったら
ばつの悪そうな顔して出ていった

なんだかおまぬけで可愛いよね
あれれ、わざとかな

石橋は疑って渡れ

ほとんどの誤りって勘違いの仕業
―だよね

「わたしはあなたこと愛している」
それはあなたの勘違い
―だったりして

そこから何かしらのドラマとか
はじまると良いのにね

気づかぬものは久しからず

勘違い、破綻してはじめて誤りだったことに気づく
そんな経験を嫌になるぐらい繰り返している

おばさんが男子トイレに入っていく
それは勘違いでも何でもなくて
Going My Way
―ってことなのかな

恥じらいとか優しさとか人間らしさを棄てたとき
ひとは勘違いだと気づくことさえ失う

スイカを自動改札機にかざしたはずなのに
ピンポンゲート閉まるのは
女性としての賞味期限過ぎたから

で、それがどうしたと開き直ってみたりする



自由詩 ピンポンゲートなひと Copyright 恋月 ぴの 2008-04-28 21:00:34縦
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