ソックスチェーンソックス
虹村 凌

ラブ&ピースなロックを叫ぶ奴らを蹴飛ばして
そいつらの口の中に靴下を詰め込む
親のスネを齧りながら「原発いらねぇ」って言う奴らを殴り倒して
そいつらの口の中に靴下を詰め込む
ハンバーガーを食べながらシーシェパードを応援する奴らを投げ飛ばして
そいつらの口の中に靴下を詰め込む

君と彼氏の結婚式に行こう
僕は遅刻して行くけど許してくれよ
きっとみっともない格好で現れて
二階の窓から叫ぶのさ
「やめてくれ!やめてくれ!」
って
窓を叩き割りそうになりながら

それから階段を3段飛ばしで駆け下りて
階下にいる彼氏の友達に飛び蹴りを入れるんだ
戸惑い怒り狂う君の手を引いて
通りかかったバスに乗って
金色のマルボロで一服入れよう
構うもんか
罰金の5000円を運転手に放り投げて

迷惑そうにこっちを見る奴らに
3回目のおじいちゃんの香典で集めた金を分けてやるんだ
まだ生きてるのは忘れる事にして
そいつらの口の中におじいちゃんよりしわくちゃの諭吉を突っ込んで
肩を叩いて笑うんだ君以外
怒り狂う君はバスから飛び降りて
もと来た方へ戻っていく
僕はバスを降りてもう一度煙草を吸うんだ
「卒業のつもりだけど失敗したぜアイツ」
ってバスの乗客に指を指されて笑われながら
僕も笑いながら
バスに蹴りを入れるんだ

さようなら僕の青春
きっと明日からは毎日毎日
今にも酷く朽ち果ててしまいそうな
赤茶色に錆び付いた鎖を引き続けるよ
グローブが無いから靴下を手に巻いて


自由詩 ソックスチェーンソックス Copyright 虹村 凌 2008-04-26 18:30:03
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