病床
ロリータ℃。





明るすぎる午前五時のお部屋の中で
動かない時計が微かに鳴いたような気がした



わたしは声もたてずに泣いていて
壊れた人形のように抱かれてる
時も止まりそうなこの部屋で
身動き一つできないまま
君の鼓動を聞いている




どうしようもないことだよと
君は言った
わたしは信じていない振りをしたけど
きっとそうなのだと知っていた





君の鼓動は確かにここにあるけれど
心の所在がわからないんだ
だって大人になってしまったから
時間を止めてはいけないことも知っているんだ






君の首筋からは
ひどく甘い香りがする
赤い花びらに悪意すら読み取って
わたしは怯え
少し笑った



できることなら
その腕一本でも欲しいと思った
けれど手に入れてしまったら
わたしはその瞬間に
時を止めてしまうだろう


そして人ではなくなって
君のことも忘れてしまうだろう




自由詩 病床 Copyright ロリータ℃。 2008-04-21 05:58:54
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