春と月と やわらかな旅立ち
もも うさぎ

昔 父さんが庭の木に作ってくれたブランコに
僕たち兄弟が並んで

そうやって
毎日 そうやって暮れるまで

永遠に思えるような時間を過ごした

季節が変わるたびに
短くなっていくのだと

気づいたら立ち消えていた それらは



みんな 一体 どこにいってしまったのだろう






ベッドに目をやれば
月明かりの下
きみがすやすやと眠っている

僕は


そうだな、僕は

たぶん、行くところがある


行かなくてはならない、と説明しても
きっときみは泣くんだろう

そのときは
小さなきみに預けてある僕の半身を
きみは僕に返さなきゃならない


そして僕はきみの半身を


きみ自身の人生に 返してあげなきゃいけないんだ








〜春と月と やわらかな旅立ち〜


自由詩 春と月と やわらかな旅立ち Copyright もも うさぎ 2008-04-17 05:10:57縦
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