生き甲斐(お花見)
小原あき

いつまでも生きていこうよ





桜を見に
車椅子を押す
その背中
“来年も見に来よう”


孫から貰った桜の花
手の中に大事にして
見つめながら
“それまで生きているだろうか”


車椅子を押す
その背中が
笑う


不確かな命
それは
まだ若木の私たちもおんなじだよ


しわしわの大きな手
その中に桜は笑っていた


太い幹の古木
その中に桜は咲き誇っていた


“来年も見に来よう”


そうやって
人は少しずつ
不確かな命を
確かな物にしてゆくのかもしれない


車椅子を押す
その背中
車椅子の上で
なんでもない花を抱く
その手


それは
未来の私たちかもしれない





自由詩 生き甲斐(お花見) Copyright 小原あき 2008-04-16 17:42:22
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