駅員と春






ホームを歩いていたら
ほうきとちりとりを持った駅員さんが
花びらを掃いていた


小さなホーム 裏の桜の木
頭上から桃色の両手を差し伸べて
風が吹けば
ひらひらと舞い降りてくる
小さな蝶の群れ
地に着けば
川のように流れてゆく

それらを集めては
桃色の山にして
ちりとりの中へ
淡々と流してゆく

彼は背を伸ばした
今日もいい一日になるのだろう
見上げた顔に朝日が差した

すべてを綺麗に収めて
彼は少し満足げな表情をした
そして最後に
小さな吸殻を
ちょちょいと
ちりとりに入れて


電車はもうすぐ出発する




携帯写真+詩 駅員と春 Copyright  2008-04-11 21:07:01
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