一脚の椅子
ダーザイン

孤独な旅に早くもくたびれて
テントの中で アパートの椅子を思う
食卓に一脚の椅子

雨に煙った三日間
バイク乗りは手を差し伸べあうが
届ける花束はない

明日はもっと 寂しい所へ行こう
誰もいない海岸草原
海の最中にとり残された
一本のか細い道へ

朽ち果てた木道の脇で
風露草の桃色が
霧雨とともに吹き過ぎて行く風に
身をふるわせているだろうか

或いはジャズバー釧路 ブルース・アンドロック帯広
そのような辺土の部屋のカウンターには
どのような娘が立っているのか

誰もいない晩夏の浜辺に
置き忘れられた一脚の椅子

そのようにして終える旅もある

夜半
喧騒の名残るキャンプサイトを抜け出し
湖畔へとたどる

遠く対岸の岸辺で
単眼のヘッドライトがひとつ
夜を引き裂いていった

#古い詩です


自由詩 一脚の椅子 Copyright ダーザイン 2008-04-11 13:01:58縦
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