ひより
わら

また、この季節がきたよ
ながかったねぇ
ぼくたち
 
華やいで
きみ 
咲いているよ 

あの花は 
すべてを忘れろっていうように 
咲いて、風に流れているんだ 

うららかな木漏れ日とともに 
おはようって言うんだ 


だから
ぼくは 
春は、ずっと 
きらいなんだ 

冬に息絶えたあの灯も 
嘆きも 
降りしきるあの日々さえも 
なにもなかったかのように澄んでいるんだ 

その輝きが 
ぼくにはとても残酷にみえて 

咲き誇る木々の下に根づく血をおもう 


なのに、どうしてだろう 
光に 
ひとみは見上げているのは 
空があたたかいのは 
風がやさしいのは 


その淡い色に 
忘れそうなことに 
自分を責めて 

また 
忘れられないことが黒く刺さって 

こんなまばゆい場所に 
ぼくは居場所をみつけられないよ 


華やいで 
ほら 

だけど、ねぇ
きみ 
あのとき 

すこしだけ 
わらったんだ 

















自由詩 ひより Copyright わら 2008-04-07 00:35:08
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