思春季
本木はじめ




日だまりに停車してある軽トラできらきら光るホットサイダー



おじいちゃん早く渡りな大丈夫道路は三途の川じゃないから



祝日に国旗を掲げる家なくて家主の世代交代思う



久々に自転車漕げば知らぬ間にきみと出逢った岬が見えて



駄菓子屋に核爆弾が落ちる夢もはやいまさら跡形もなく



ばらばらになった思い出かき集めあの日のきみを起こそうとする



見慣れないジャージの群れが行き来するまだ誰ひとり顔のないまま



むかしむかし「春はどこ」だと聞いてきたきみをいまさら探すのが春



山道に壊れた自動販売機一体いつのキャンペーンだよ



コンビニの光だけだが午前二時なんだか夜が透き通ってる



桃の花たっぷり咲いてけものみち縦横無尽に続く思春期









短歌 思春季 Copyright 本木はじめ 2008-04-05 20:37:33
notebook Home 戻る  過去 未来