無題20
ねろ

 



 

 人間の心臓には

 部屋がいくつあるのだろう

 あたしは今日も 生まれたんだ

 小さな部屋の中に

 身体の中で
 
 赤く

 動いて

 有機繊維で構成された

 動かない 猫の 心みたい

 九つ目の 部屋で
 
 殺されたと 思ってた 

 あたしは また 生まれた

 最後ではないんだ

 あたしが 何処からか 来るものか知らない

 あたしが 何によって 創られたものかを 説明する事も 難しい

 急に出てきた 赤子の 頭に

 付いている顔が 見えたんだ

 人間に心は いくつ あるんだろう

 あたしの心は 生まれた数だけ あるよ

 生んだのではなくて

 苦しむことも なくて

 父親も持たず

 あたしという存在自身の赤子は

 母体の幻想から成る

 子宮の中で

 知らぬ間に 温められていた
 




自由詩 無題20 Copyright ねろ 2008-04-01 23:22:10
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