騙されるひと
恋月 ぴの

ぼっかり空いたこころの隙間に
あなたの優しさが忍び込む

そのひとに騙されているのではと
友達は忠告してくれた
仮にそうであったとしても
構わないと思ってしまうわたしがいる

ひとの弱さのようなものを
曝け出してくれる
あなたに
わたしと同じにおいを感じ取り

「明日には必ず…」

そんな聞き飽きたことばに
だまって頷くのは
約束は果たされると一縷の望みを託すから

ひとに優しい人は
えてして自分にも優しい

あと少しもがけば手が届くだろうに
こらえきれず力を抜いて
この世の涯へと流れ流され

覚悟が女のさだめなら
はだけた乳房に顔をうずめる男をあやし

どこまでも

疼く子宮は涙に濡れる





自由詩 騙されるひと Copyright 恋月 ぴの 2008-03-26 22:20:16
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